夢の連鎖
毎朝起きる時、私は必ず何らかの夢のまっただ中にいて、時折アラームで起床してもその世界観から抜け出せないことがある。
夢が無意識の願望であるとか、日中残滓であるだとか、その理由はどうでもいい。
一時期SNRIの薬を飲んでいた頃、毎日母親の夢を見ていた。
怒られる夢であったり、優しくされる夢であったり、或いは主治医が「お母さんに言いたいことを全部言いなさい」と指示するのだが、私が何か言おうとした瞬間、目が覚めた。
こんな話を聞いたことがある。
実父に毎晩性的暴行を加えられたいた女性が、毎晩その悪夢を見るのだという。
それを聞いた精神科医が、「夢の中でお父さんを殺したら?」と提案すると、彼女はそれに成功し、悪夢は消えたという。
私の主たる精神疾患である解離性障害の症状・離人感が一番酷かった時期は、何が現実で何が夢なのか、区別がつかなくなっていた。起きていても世界はまるでぶよぶよとした半透明の膜に覆われているようで、私はいくらそれから抜け出そうとしても、膜を破れないのだった。
その時期に見る夢は、現実の感覚とまったく質感が同じだった。現実味がなく、世界は相変わらずぶよぶよとした半透明の膜の向こうで、自分が、自分の足で立ち、心臓が動き、「生きている」という実感までもが曖昧模糊としていて、寝ても覚めてもその状態だった。
夢は連鎖すると思っている。内容や舞台や設定の問題ではなく、同じ脳が見せているという意味で。それはポジティブなものであれネガティブなものであれ、夢は夢と割り切り、ぶよぶよとした半透明の膜にかすり傷くらいは負わせたい今日この頃。