食べるための料理、生きるための料理
小さい頃から、料理は好きだった。
母親の手伝いをするのが好きで、いつの間にか料理を覚えていった。
母親が仕事で遅くなる日には、代わりに食事の支度をした。
それがいつの間にか、いや、実家を出てからというもの、ほとんど料理をしなくなった。
理由は、単純。
食べてくれる人がいないから。
その時々の彼氏と同棲すると、料理をするようになる。
別れて独り身になれば、またしなくなる。
その繰り返しだ。
私は料理が好きなんじゃなくて、私の料理を食べてくれる人がいることが嬉しいだけなんだと思う。
彼らは私の承認欲求を満たしてくれるから。
自分の料理を食べてもらうと、まるで自分が認められたような気になる。
たかが料理だけれど、きっといろんなことの積み重ねで、そう思うようになってしまったんだと思う。
食べるための料理をするのは簡単だ。ただ作ればいいだけ。
でも私の料理は、食べてくれる相手がいないと成立しない。
私は私が食べるために料理をすることはない。
その代わり、私は生きるために料理をする。